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その顔をヘンリー卿はながめた。うむ、なるほどすばらしい美青年だ、みごとな曲線を描いた朱唇、つぶらな青い目、ちぢれた金髪。その顔にはひと目で他人の信頼をかち得るようななにものかがある。そこには青春のあらゆる率直があり、同時にまた青春のあらゆるひたむきな純情もある。世俗の汚れを身にうけずにきたという感じだ。

ドリアン・グレイの肖像


目をみはりながら、アッシェンバッハはその少年が完全に美しいのに気づいた。蒼白で、上品に表情のとざされた顔、蜜いろの捲毛にとりまかれた顔、まっすぐにとおった鼻とかわいい口をもった顔―かれの顔は、最も高貴な時代にできたギリシャの彫像を思わせた。そしてそれは形態がきわめて純粋に完成していながら、同時に比類なく個性的魅力をもっているので、見つめているアッシェンバッハは、自然のなかにも、造形美術のなかにも、このくらいよくできたものを見かけたことはないと思ったほどであった。

ベニスに死す


どちらも、美少年を男性の視点から形容している文章であって、自己の内にて完結している美の規範、唯美主義な思想が共通しているように思う。作家がどのように「美しいもの」を表現しているかを抜き出して読んでみると、その作家の理想像が見えてくるようで面白い。
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2007.09.07(00:00)|少年コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
少女漫画の美少年に恋をしていたときがある。とりわけ24年組と呼ばれる作家たちが描いた美少年、少年同士の愛には熱病に罹ったように夢中になった。「日出処の天子」「風と木の詩」「トーマの心臓」「ポーの一族」・・・。当時、なによりも愛した漫画で、もちろん今も好きだけれどあの頃の熱情とは違う。胸が膨らんで初潮がきて女になっていくことを自覚せざるをえない状況下。タルホ的A感覚の賛美と憧憬、生産性のあるV感覚を所持することへの軽蔑。毎月、血を垂れ流して身体には脂肪がまとわりついていく状態が、あまりに露骨まるでケモノじゃないかと嫌悪感でいっぱいになっていた時期。そのときに、女性的な美しい容貌を持ち得ながらも、ケモノ臭さの排除に成功し、男性の第二次性徴には黙殺という形で対抗したそれらの「美少年」は理想そのものでした。

いまこんなことをいうと御幣がありますけれど、女のほうは子供を産む機械だから、その役目は美ではないという考え方がある。男性のほうがむしろ美の対象になるんです。

幻想文学31-特集:アンドロギュヌス-1991年発行



上は日本の衆道趣味について語っているところからの引用で、昨今流行の「産む機械」で例えられていてちょっと笑ってしまったけれど読んだときには、なるほどと思った。そして少女が「少年愛」に恋をすることとは、「子宮」への否定ではないのかとも。ロリータファッションに身を包む少女たちにもそれは言えるのだと思う。子宮への否定はエロスへの否定にもつながっていく。萩尾望都の「ポーの一族」での吸血鬼は、薔薇のお茶を飲み、血は直に吸わずに指先からエナジーとして抽出する永遠を生きる少年たちで、その透明な美しさは喉から手が吐き出るぐらいにうらやましかったけれど、今は丸尾末広の「笑う吸血鬼」の血に欲情しながら殺戮をし、永遠の老人として生きなければならない運命を持つ少年少女の方がより心惹かれるようになった。*1

子宮の拒否から許容へ。
エロスの否定から肯定へ。
血生臭さの忌避から愛着へ。

なんか自分でも何書いてるのかよくわからなくなってきてしまったけど、まとめるならば「お母さん、もう一度僕を妊娠してください」*2ということ?です。

ポーの一族 (1)

ポーの一族 (1)



笑う吸血鬼

笑う吸血鬼



*1:吸血鬼好きは変わってないのです

*2:身毒丸

2007.04.05(00:00)|少年コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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古谷 葵

Author:古谷 葵

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Koumori to Namekuji no Utage

箱詰人形などとも名乗っております。
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猟奇唄
猟奇唄 (上) コシーナ文庫
猟奇唄 (上)間 武

三行詩集『猟奇唄』の表紙絵と挿絵を描かせていただいてます。
取扱書店:ジュンク堂池袋店/大阪中崎町・書肆アラビク/アマゾン
Dodgson Vo.1
◆Dodgson Vo.1 「漂流少女」◆

幼女に関する短編小説&考察を寄稿させていただいています。
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ギャラリーCAVEさまのオンライン古書店<<書肆CAVE>>にて、わたくし箱詰人形がセレクト致しました“箱詰人形セレクト”なるカテゴリを設けていただいております。
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