中学二年生のときに初潮がきた。周りの子と比べるとずいぶん遅くにやってきたものだった。
わたしには“ソレ”がくることはないのだろうと、漠然と、しかし半ば確信に近い思いを抱いていたので、知識は十二分にあったけれども、酷く衝撃を受けた。激しく動揺した。まるで脳髄が攣ったかのような感覚に襲われ眩暈がした。
わたしは目を瞠りながら、死にたくなるほどにその現象を恥じ入っていた。下着に付いた赤黒い、茶色くも見えるその痕は紛れもなく経血で、そして血からは微かに獣の臭いがした。

満月の夜、はじめての変身の日、狼男はどんな気持ちになったのだろう。きっと今のわたしと同じように、恥ずかしさに打ちのめされ、いっそ消えてしまいたいと願ったのではないだろうか……。

わたしはその日、中学校の女子トイレで遅い変身を遂げた。月に一度、凶暴な獣となる儀式を終えた。
まだ獣になることに怯えていた、満月の下で自分を解き放つ快感を恐れていた狼の、遠い日の記憶である。
2009.10.28(23:03)|思考文章コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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