悪魔を憐れむ歌 1巻 (バンチコミックス)
posted with amazlet at 17.06.18
新潮社 (2017-05-09)
売り上げランキング: 3,453
売り上げランキング: 3,453
北海道警の刑事・阿久津亮平は8年前に起こった「箱折連続殺人事件」を追っていた。周囲の呆れ顔をよそに熱心に捜査をする中、知り合ったのが咽喉科医・四鐘彰久。静かな佇まいの有能な医師で、協力を約束してくれた。一方、道警内部の軋轢に苦悩する阿久津…そして、実は四鐘こそ「箱折犯」その人だった――!! 血と暴力と追憶に彩られた黙示録クライムスサスペンス、ここに開幕!!
梶本レイカさんの新刊『悪魔を憐れむ歌』は是非とも読んでほしい作品です。まだ一巻なので導入部分ですが、脳髄を貫くような恐怖と絶望と狂気と、絶望よりも深い絶望のような希望が、濃厚なエロティシズムの薄膜に覆われ、気がつくとこの世界の論理に飲み込まれていきます。二人が声帯を覗きながら女性器に似てると笑うシーンの、背骨が軋むような恐ろしさと凄絶な色っぽさには目を瞠りました。
まだまだ導入なので、『高3限定』、『コオリオニ』と梶本レイカさんの名作を読んできた者として、読者が信じている世界が簡単に反転するこの世界で、ぎりぎりのバランスで生きている人間たちが紡ぐ物語を堪能出来ることが嬉しいです。