蝙蝠と蛞蝓の宴資料・記録
> 対談:四谷シモン×吉田良×マリオ・A
マリオ 「(日本では)一般の人は結構人形好き。日本人は表でにこにこするんだけど、裏は結構、こわい性格を持っていますからね。(一同笑) 特に最近の若い女の人と話すと、みんな好きでね、エログロな少女、少年漫画とか。外国人から見ると先入観とは正反対で大きな驚きです。みんな、ポーカーフェイスでいながら…」

小川 「人形ではこんなに過激な国、ないですよ。他の国では、人形はちゃんと人形として、収まるところに収まっていますから。だからアメリカでは人形の雑誌ではヘア・ヌードは駄目だし、裸も駄目」

マリオ 「誰が検閲するんですか。答えとして分かるのは、一方ではあるキリスト教の厳しいピューリタン、もう一方ではフェミニズムから…。不思議にも政治的には正反対の立場なのに一緒に組んで検閲してるわけです。だから保守的なアメリカ人に対して成功するのが難しいことは事実です。けれども、あなた達が作った環境は、お陰様で素晴らしい」(一同笑)

吉田 「御陰様でって!(笑)」

榊山 「もう一つは、未成年者に対する考え方の違いがあって、エロテッィクな表現で言えば、日本は性器表現は未だにだめとなっていますけれども、欧米では随分前から男性性器でも女性性器でもOKですよね。ただ、子供がいる一般公共の場所には出さない。それから未成年者を表現の対象にすることに対してもきびしく罰する。人形は子供と通じるところがあるから余計に厳しいということではないでしょうか」

シモン 「少女の人形というのは、御人形というのはもともと、トイ。玩具の領域で子供が可愛がる、という絶対的な領域があるじゃないですか。それをほとんど踏み外していることを(我々は)やっているわけですよね。例えばマリオもこれを、可愛い、と思ってやっている」

マリオ 「そうそう。キーワードは〈可愛い〉なんですよ。僕、日本の社会でアイドルの話とか可愛らしさとか、その環境をとても意識するんです。この環境がヨーロッパではないんです。毎日のように女の人が〈キュート〉なんて、百回も言うことじゃないんですから。だからここは〈可愛い〉文化。テレビの女性タレントは可愛くないと駄目。だから全体的には、〈可愛らしさ〉を持ってないと成功できない世界なんですね。人形っぽい、femme enfant’大人になりたくない、成長させないような環境を、雄のテレビプロデューサーが一生懸命築くから、松田聖子や森高千里からモー娘まで、まだ日本社会全体が全然変わらない。それは商品価値としてお金になるから。母親たちも自分の娘が人形のようなピンク色的な可愛さで育てている。責任は母親にもあるはずです」

吉田 「日本は本当にロリータ王国だって、この本(『解体人形』)を出した出版社の編集者も言ってるんですね。成熟した女性のものよりも、ちょっとロリータっぽいものの方が日本人の、まあ、男性でしょうけどね、受ける」

マリオ 「いや、男性だけじゃなく、女の子にも受ける。だから問題なの。欧米のフェミニスト達が日本に来たら、おしまいなんです。自分たちのジェンダー・スタディース論理が全く進まないから。『私は可愛い、でいたいんだから』と言ってそういう服を三十才になっても着ている、日本ではそんな環境なんですよ。」

Doll Forum Japan vol.35より

ドール・フォーラム・ジャパン (Vol.35)ドール・フォーラム・ジャパン (Vol.35)
(2002/12)
ドール・フォーラム・ジャパン事務局

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2007.12.02(21:32)|資料・記録コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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