―それでは、ウテナを見て、それほど違和感はなかったんですか?
JA : そうですね。「ウテナ」に関して言えば、違和感はまったくなかったです。今回書いたウテナへの詩に、「少年霊(ことだま)」という造語があるように、女の子の物語以前に「ウテナ」は幾原氏の世界そのものなんですね。少年って世界をもすごく演出してるんです。それは多くの芸術家たちが少年期や幼年期に還るという一つの形があるように、幾原氏はそれをまさにハッキリと、的確にブラウン管を通してやったんじゃないかな。それに、女の子の中にも少年期というものが存在しているということなんですね。もともと性というのは、X(女)で誕生して太陽光線の突然変異でY(男)になるんです。男と女の形に分かれたんだから、だから最初はみんな女性なんです。で、途中で男女に区別される、半分は少年で在って半分は少女で在るという、そんなアンドロギュヌス的世界に惹かれていましたね。自分の中の両性性とか大人の中の少年性というようなところを意識の中で感じる作品だと思いますよ。
―詩を作るときは、どのような環境の時ですか?
JA : 特別にこんな風にということはありません。自分の頭の中で漠然とイメージを構想するだけです。それを歌にするだけなんです。そうすると、今回書き下ろしたようなこんな詩が出来上がってしまうんです。…実はね、僕は本も嫌いだったんです。天井桟敷に在籍していたときに、寺山(修司)さんに、「もし僕が本を読むとしたらどんな本がいいですかね」ってきいたら、「あなたは本なんて読まなくていいよ。どうしてもって言うんなら、「家畜人ヤプー」とか、夢野久作、澁澤龍彦、泉鏡花を読みなさい」って言われましたね。
【『薔薇の黙示録-少女革命ウテナ』より引用】
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