蝙蝠と蛞蝓の宴資料・記録
> ベルメール論

ベルメールが、ホフマンの『砂男』を舞台化したオッフェンバックの歌劇『ホフマン物語』を見てオランピアという人形にいたく刺戟されたことがよく指摘され、それゆえホフマンのくだんの小説を俎上にのせたフロイトの論文「不気味なもの」を引き合いに出すことで、たとえばロザリンド・クラウス(『視覚的無意識』一九九三年、あるいは『独身者たち』一九九九年)やハル・フォスター(『強迫的な美』一九九三年)のように、ベルメールの「畸形」の人形を「不気味」といった語彙と結びつけて論じることも、もとよりできないわけではない。それはしかし私のいう「心的距離」の内実にかかわることで、人形製作の意図と方法にかかわる問題ではない。ベルメールの父親との確執、反ナチの姿勢、あるいは去勢コンプレックス、女性嫌悪といった指摘も、ここではさしあたって問題にならない。
問題は、ひとえに少女人形というかたちをとった肉体への徹底的な操作・凌辱である。ベルメールは、肉体の部位と暴力的な分節を、人形ならぬウニカ・チュルンの生身の肉体にほどこしたことがある。彼女の全身がまさしく「球体間接」化して異形の肉体が現出したのだった。

『肉体の迷宮』 谷川 渥


肉体の迷宮肉体の迷宮
(2009/04/02)
谷川 渥

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2009.10.06(22:16)|資料・記録コメント(2)トラックバック(0)TOP↑
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From:  * 2009.10.08 03:20 *  * [Edit] *  top↑

なるほどー。了解致しました(笑)
From: 古谷 葵 * 2009.10.09 22:53 * URL * [Edit] *  top↑

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